有栖川有栖『女王国の城』
うん、待っただけのものは詰まってると思う
- 作者: 有栖川有栖
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/09
- メディア: 単行本
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あらすじ
大学に姿を見せなくなった江神を案じて彼の下宿を訪れたアリスたち。
室内には新興宗教団体「人類協会」の聖地、神倉に向かったと思われる痕跡があった。
アリスたち四人は協会の総本部の「城」へ向かい、そこで無事江神との再会を果たす。
ところがその直後、殺人事件が発生。さらに「人類協会」の幹部達は警察に事件を知らせず、一行は「城」に監禁されてしまう……。
感想
実に十何年ぶりの江神シリーズの最新作。
序盤は新興宗教の総本山に向かった江神をアリス達が追うのだが、ここが意外と長かったために、事件が起きるのがやや遅く感じた。クローズドサークルに説得力を持たせるためだったのだろうか。
しかし一度事件が起きてしまってからは非常にスピーディーに物語が展開する。アリスとマリアのこそばゆいやりとりや、織田と望月の掛け合いもいつも通り。アクションシーンまであって飽きさせない。
肝心の解決だが、端緒は掴みやすいがそのあとのロジックの展開はかなり意表をついていて良くできていると思う。監禁した理由までしっかりと解き明かしたのは素晴らしい。
うん、待っただけのものはある。★★★★★