法月綸太郎『法月綸太郎の冒険』

 ちょっと作品の差が激しいような……

法月綸太郎の冒険 (講談社文庫)

法月綸太郎の冒険 (講談社文庫)

 短編集。個人的ベストは中編の「死刑囚パズル」、次点が「緑の扉は危険」
「死刑囚パズル」(中編)
 ロジカルな推理を推し進めていって、その論理がラストで予想もつかない急転回を見せる。ちょっと疑問に思う部分もあるが、ハードロジックパズラーの快作。
「黒衣の家」
 どこかで見たような作品。論理も後付けといった感じが強く、微妙。
カニバリズム小論」
 カニバリズムの理由を問う、一風変わったホワイダニット。解答もユニークななかなかの良作。
「切り裂き魔」
 ホワイは言われてみれば納得。最後の真相にはちょっと納得いかないが。
「緑の扉は危険」
 ユニークな密室もの。そのトリックも面白いが、遊び心に溢れた伏線が楽しい。
「土曜日の本」
 『五十円玉二十枚の謎』の解答。どうも楽屋落ちでよろしくないと思うのだが……
「過ぎにし薔薇は……」
 いろいろな要素があるが、コアは結構単純。ラストの落ちは悪くない。
 「死刑囚パズル」「カニバリズム小論」「緑の扉は危険」が面白かった。トータルは★★★☆☆