霞流一『首断ち六地蔵』

 多重解決とバカトリックは相性が悪いのか?

首断ち六地蔵 (光文社文庫)

首断ち六地蔵 (光文社文庫)

あらすじ

 豪凡寺の六地蔵の首が何者かに持ち去られた。悪質なカルト集団を取り締まる魚間岳士は寺の住職・風峰と調査に乗り出す。
 だが、地蔵の首が見つかるたびに、そばには奇妙な死体が。見立て殺人の謎を解決していく魚間たちを待つものは?

感想

 いわゆる連作長編形式で、一つ一つ独立した短編にもなっている。それぞれの作品は三つも四つも不正解の推理が出た後に僧侶・風峰が事件を解決するという形を取っている。
 いわゆる多重解決形式だが、不正解の推理も含めていずれもバカ密室トリックが連発されるのが楽しい。ただ、あまりにバカ解決ばかりを詰め込みすぎたせいか、個々のトリックがあまり印象に残らない(こんなにバカで笑えるのに)。
 連作長編としての出来は悪くないだけに残念だ。★★★☆☆