ガストン・ルルー『黄色い部屋の謎』(創元推理文庫)

黄色い部屋の謎 (創元推理文庫 108-1)

黄色い部屋の謎 (創元推理文庫 108-1)

あらすじ

 スタンガースン博士邸の「黄色い部屋」で、奇怪な事件が起こった。内部から完全に密閉された部屋の中から博士の娘、マチルドの悲鳴と銃声が聞こえた。慌てて駆けつけた一同がドアを壊して飛び込むと、血の海の中に彼女が倒れているだけで、犯人の姿はどこにもなかった……。

感想

 これまた名作中の名作です。初めて読んだ時(小学生だった)には、話の筋がとても面白く、もう一つの謎である「廊下からの人間消失」の解決にあっと驚いたものの、肝心の「黄色い部屋」の謎解きには不満を持ったのですが、再読すると全く印象が違いました。
 新聞記者ルールタビーユとパリ警視庁の名探偵ラルサンの推理合戦は今読んでもとても面白いです。そして初めて読んだ時は「なんだかつまらない」と思っていた「黄色い部屋」の謎解きが、再読すると非常に面白かったのが印象的。ルールタビーユはなぜマチルドの髪型を気にしたのか、なぜラルサンはステッキに執着していたのか、など探偵達の一見無意味に見える行動が最後の解決で見事に収束するのが非常によくできていると思いました。
 密室ものの古典です。色々なところでネタバレされていたりもするので読んでおきましょう。