クレイグ・ライス『スイート・ホーム殺人事件』(ハヤカワミステリ文庫)

スイート・ホーム殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-1)

スイート・ホーム殺人事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫 28-1)

あらすじ

 お隣の奥さんが殺されたと知って、カーステアズ家の三姉弟はママのことを考えました。推理作家であるママが事件を解決すれば、ママの本が売れるようになるに違いない! ところが肝心のママは新作にかかりっきり。ならば自分達で犯人を見つけて、ママの手柄にしちゃおう! かくしてちびっこ探偵達の活躍が始まるのですが……

感想

 ユーモアミステリの女王・ライスの代表作。彼女の代表的なシリーズ「弁護士マローン」ものではドタバタ調が強いのですが、この作品は違います。三人の冒険にくすくす笑ったり、はらはらしたり、ちょっとほろりとしたり。全体にほのぼのとした感じが漂っている「素敵なお話」という言葉がぴったりの作品です。ちょっと言葉遣いが古めかしいのが珠に瑕だけれども、主役の三姉弟やママ、警官など、登場人物達の描き方もとても素晴らしいと思います。
 ちなみにこの作品に限らず、ライスの作品はミステリとしては薄味ですが、それもライスの魅力だと思っています。この作品が面白いと思ったら「弁護士マローン」シリーズもぜひ。


その他のクレイグ・ライスの代表作
『時計は三時に止まる』
『大はずれ殺人事件』『大あたり殺人事件』