A・A・ミルン『赤い館の秘密』(創元推理文庫)

赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1))

赤い館の秘密 (創元推理文庫 (116-1))

あらすじ

 有名な「くまのプーさん」の生みの親、ミルンが書いたミステリ。
 暑い夏の昼さがり、十五年ぶりに赤い館を訪れたオーストラリア帰りの館の主人の兄が殺され、館の主人は失踪してしまう。この事件に、たまたま館を訪れたアントニーギリンガムは「ついに新しい職業が見つかったぞ!」と(勝手に)私立探偵となり、赤い館に滞在していた友人ビル・ペブリーを(勝手に)ワトスン役にして、事件の調査を始める。

感想

 この作品、突っ込みどころが満載です。「新しい職業が見つかったぞ!」と言い出して突然探偵になるだけではなく、友人のペブリーを勝手にワトスン役にするギリンガム。されたペブリーも「よし、まず何をするんだい?」とノリノリ(笑)。館の外で忽然と人が現れるという不可思議なことが起こったという場所を調べると、なんと秘密の抜け穴が。
 こんな作品ですが、印象に残るシーンが多いのも確かです。書斎での危機一髪のシーンや、真夜中にボートで湖に漕ぎ出すシーンなど、絵本を読むような楽しさがあります。このあたりは作者の面目躍如といったところ。
 「凄いミステリ」ではありませんが「楽しいミステリ」であることは保証できます。ぜひ読んでみてください。