2007下半期ベスト3
今年の7〜12月に読んだのは52冊。上半期の76冊からは大分減った。
まあ減った分はラノベに回ったわけだが。
というわけでベスト3。まずは海外編。
<海外作品>
1位 アイザック・アシモフ『はだかの太陽』
2位 ジョン・ディクスン・カー『ニューゲイトの花嫁』
3位 アイザック・アシモフ『われはロボット』
次点 ロバート・J・ソウヤー『イリーガル・エイリアン』
SF絡みの作品が上位を占めた。
1位は『鋼鉄都市』の続編にあたるSFミステリ。ソラリア人の特殊な性質よる一風変わった密室状態や、ロボット三原則を巧みに組み合わせたトリックの上手さが面白い。
2位はカーの最初期の歴史ミステリ。本格ミステリ、冒険、ラブロマンスのバランスが良く、それらに果敢に挑む主人公が非常に生き生きとしている。
3位はまたアシモフ。題名通りロボットをテーマにした短編集で、ロボット三原則が生み出すロボットの矛盾や奇妙な論理を見事に描ききっている。
次点はソウヤーのファースト・コンタクトもののSFミステリ。序盤は普通のファースト・コンタクトSFだが、殺人事件が起こった瞬間、骨太な法廷ミステリへと転換する異色作。
続いて国内編。
<国内作品>
1位 三津田信三『首無の如き祟るもの』
2位 有栖川有栖『女王国の城』
3位 歌野晶午『葉桜の季節に君を想うということ』
次点 中西智明『消失!』
今年刊行された作品が上位を占めた。
1位は今年最大の衝撃作と言われるのも納得の「首のない死体」をテーマにした傑作。単純ながらも個々の謎が絡まって真相がまったく見えない事件が「たった一つのある事実」で解き明かされてしまう解決シーンは圧巻。その上にどんでん返しまでつくのだから強烈だ。
2位は実に15年(くらい)ぶりの学生アリスの長編。序盤ややもたつくが、中盤以降のユニークな閉鎖状況やアクションあり冒険ありの展開は非常に楽しい。解決ではおなじみの見事なロジックが炸裂する。
3位は2004年に国内ミステリシーンを席巻した話題作。ハードボイルド風な語り口でいくつかの事件が並行して描かれ、それらが収束しながら大仕掛けが決まるラストは強烈。
次点は「伝説のバカミス」と呼ばれていた作品。「伝説のバカミス」の名は伊達ではなく、解決では大爆笑してしまった。もちろん本格ミステリとしての構図はしっかりしているし、そこも評価。