岡本綺堂『半七捕物帳(二)』(光文社) 12/14読了
半七の第二巻。前巻の流れは健在
- 作者: 岡本綺堂
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2001/11/01
- メディア: 文庫
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「鷹のゆくえ」
事件が事件だからか、推理要素はほとんどなく捜査中心。やや行き当たりばったりな感じも。
「津の国屋」
この中では珍しく怪奇的な事件が続発する。中盤のサスペンスは申し分ないし、解決も鮮やか。
「三河万歳」
当時の正月の風習が事件と上手く絡まっている。ミステリとしてはそれほどの出来ではないか。
「槍突き」
本筋は割と単純なのだが、脇筋でいろいろな事件が絡まって複雑な作品となっている。
「お照の父」
犯人の設定が江戸時代独特でユニーク。伏線の張り方も面白いと思う。
「向島の寮」
ホームズものにありそうな発端といい、展開といい、ミステリというよりは冒険小説の色が濃い。
「蝶合戦」
いわゆる「首のない死体」で、これ自体は平凡。むしろそれ以外のトリックが良くできている。
「筆屋の娘」
この中ではトリッキーな一品。ラストの追跡劇が面白い。
「鬼娘」
これまた江戸時代独特の犯人設定が面白い。
「小女郎狐」
狐の仕業と言われる事件の調査。ちょっとしたミスディレクションが効いている。
「狐と僧」
僧侶が狐に化けたという発端が面白い。ただ解決はデータもほとんど提示されていないし、若干アンフェアか。
「女行者」
予想通りの展開やあっさりとした解決など、ちょっと印象に残らない作品。
「化け銀杏」
肝心の化け銀杏の謎があっさりと解かれてしまうのが不満。その後の錯綜が余計に感じてしまった。
一でも書いたけれど、良くも悪くも日本版シャーロック・ホームズといった趣は健在。非常に楽しく読めるのだが、ミステリとしてはやや不満な作品もあるので★★★★☆