ロス・マクドナルド『ドルの向こう側』
変わらないテーマと質の高さ
- 作者: ロス・マクドナルド,菊池光
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1981/04
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (9件) を見る
あらすじ
実業家の息子トムが脱走したので捜してほしい……少年院の理事の依頼を受けてアーチャーは調査を開始する。
ところが、直後にアーチャーはトムが誘拐されたと知らされる。
アーチャーは調査を進めるが、不思議なことにトムは謎の女と街に出没しているらしい。
二人の居場所を掴んだアーチャーはそこで謎の女の死体を見つける……
感想
ロスマクの作品の多くに見られるように、これもテーマは親子の血である。
主人公となる少年や、彼を取り巻く人々の心の傷がリュウ・アーチャーというフィルターを通して荒涼とした世界を作り出す。この中盤の展開は相変わらず読み応え抜群。
プロットの捻りや意外性のある解決も健在だが、今回のはやや分かりやすかったかな。
それでも推理と小説を高いレベルで融合させている良作だと思う。★★★★☆