トニー・ケンリック『スカイジャック』

アイディア一発のユーモアミステリ

スカイジャック (角川文庫)

スカイジャック (角川文庫)

あらすじ

 三百六十人の乗客を満載したジャンボ・ジェット機が忽然とかき消えた。
 犯人からの身代金の要求に、航空会社とFBI、それに州警察が調査に乗り出すが、飛行機の行方は分からない。
 たまたま事件を聞きつけた弁護士ベレッカーは元妻兼秘書のアニーと十万ドルの報奨金めあてに、素人探偵よろしく調査に乗り出すのだが……

感想

 ジャンボジェットが乗客と一緒に消失してしまうというとんでもない謎を持ってくるのだが、そのアイディアが非常にユニークで面白い。
 また、謎を謎のまま放り出しておかないで、不可能犯罪の検討を行ない、主人公達が思いつく魅力的な仮説を一つ一つ否定していくことで不可能性を強調し、話を盛り上げているのが上手いと思う。
 主人公達が捜査で巻き込まれるドタバタの強烈さもかなり笑えし、ユーモアミステリ好き、不可能犯罪好きとしては大満足の一品。★★★★★