ジョン・ディクスン・カー『ニューゲイトの花嫁』

とても「カーらしい」歴史ミステリ

ニューゲイトの花嫁 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-15)

ニューゲイトの花嫁 (ハヤカワ・ミステリ文庫 5-15)

あらすじ

 1815年のロンドン、ニューゲイト監獄。
 その死刑囚の独房に美貌の令嬢キャロラインが訪ねてきた。彼女は祖父の遺産を相続するために形だけの結婚をしようと、死刑を間近に控えた死刑囚ディックを夫に選んだのだった。
 ところが、運命の悪戯でディックは突如釈放される。身に覚えのない殺人罪で投獄されていた彼は、真犯人を追い求める……。

感想

 カーの歴史ミステリの中では「ゴドフリー卿」を除くと最初期のものであるが、本格ミステリと決闘などの冒険、そしてラブロマンスが非常にバランス良く配置されている傑作だと思う。
 次々と襲い掛かってくる敵を倒していくディックの活躍はワクワクさせられるし、ニューゲイト監獄で形だけの結婚をしたはずのキャロラインとの関係の変化も面白い。
 ミステリとしては、トリックはそれほど目新しくはないものの、それを上手く手掛かりとしているところがよくできている。★★★★★