エドガー・アラン・ポオ『ポオ小説全集?』
変り種が揃ってる
- 作者: エドガー・アラン・ポオ,丸谷才一
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1974/09/27
- メディア: 文庫
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「黄金虫」
基本的な暗号ものではあるが、謎解きのスリルがやはり素晴らしい。
「黒猫」
主人公の異常な心理と怪奇性が上手く結びついていると思う。
「長方形の箱」
主人公の友人の不可解な態度と長方形の箱の不可解な謎が解かれる作品。ミステリではないので見え見えではあるが。
「『お前が犯人だ』」
なんとなくミステリっぽい作品。登場人物のネーミングや役柄が面白い。
「シェヘラザーデの千二夜の物語」
「アラビアンナイト」のパロディだが、ちょっと登場人物の描写が好きになれない。
「ミイラとの論争」
ミイラが復活するという発端から怪奇ものなのかと思ったが、ミイラに対してムキになって現代文明を見せびらかす主人公達に笑ってしまった。なんだか間の抜けたユーモアもの。
「天邪鬼」
天邪鬼という性質自体は良くあることだが、それを殺人に当てはめることでナンセンスながらも恐怖を描くことに成功している。「奇妙な味」に通じるところがある。
「タール博士とフェザー教授の療法」
精神病院を舞台にしたブラックジョーク。ラストのカオスっぷりに爆笑。
「ヴァルドマアル氏の病症の真相」
催眠術を使って死後の会話を可能にするというファンタスティックながらもグロテスクな作品。ラスト、全てが一瞬で崩れ去る様子が秀逸。
「盗まれた手紙」
オーギュスト・デュパンもの。隠し場所トリックとして既に完成された域に到達しているのが凄い。
「跳び蛙」
この中ではかなりオーソドックスな作品。そのためか主人公の異様さや独特の設定にも関わらず印象が薄い。
「フォン・ケンペレンと彼の発見」
錬金術の話だが、ラストに痛烈な皮肉が込められていて、思わず唸ってしまった。
「暗号論」
「黄金虫」にも通じる暗号解読に関するエッセイ。読者からの挑戦を退けたくだりなどは微笑ましい。
なんだかナンセンスとホラーが多い印象。★★★★☆