エドガー・アラン・ポオ『ポオ小説全集?』

長編が微妙だった

ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2)

ポオ小説全集 2 (創元推理文庫 522-2)

 長編一編を含む作品集。個人的ベストは「群集の人」
「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」
 南極大陸を舞台にした幻想冒険譚……なのだが、漂流の時期が長いことや、脚注、断り書きが多いために、話の流れがあまりスムーズでなかったような気がする。ラストも尻切れトンボで微妙。
「沈黙」
 ショートショート。幻想的な状況と短いながらもしっかりとした展開がいい。
「ジューリアス・ロドマンの日記」
 ロッキー山脈横断の冒険譚。これも途中で切れてしまってるが、自然の描写や書き手の感情などが上手く表現されていて、あまり気にならない。
「群集の人」
 異常な様子で歩き続ける男の謎。その解決がミステリ的な意表を突いていて面白い。
「煙に巻く」
 なんだか変な話。こうやって他人を煙に巻いて楽しんでる人は確かにいそうだけれど。
「チビのフランス人は、なぜ手に吊包帯をしているのか?」
 いい意味でアホらしいショートショート。主人公のキャラが笑える。


 唯一の長編がちょっと微妙なのもあって★★★★☆