ルース・レンデル『運命のチェスボード』

本格……かなあ?

運命のチェスボード ウェクスフォード警部シリーズ 創元推理文庫

運命のチェスボード ウェクスフォード警部シリーズ 創元推理文庫

あらすじ

「アンという女が殺された。犯人はジェフ・スミスだ」
 そんな匿名の手紙がキングズマーカム署に届いた。ウェクスフォード警部は調査を開始したが、死体さえ発見されない状況に困惑せざるを得ない。本当に殺人はあったのか?

感想

 失踪した娘と匿名の手紙、といういかにも本格ものっぽい出だしで事件は幕を上げるが、その後の展開はそれほど派手にはならない。
 中盤はやや地味な展開だが、ウェクスフォード警部たちが関係者の証言を一つ一つ洗い出し、そのたびに少しずつ事件の様相が変わっていくのは非常に面白い。最後に提示される真相自体も上手く一捻りされていると思う。
 あえて欠点を挙げるなら、終盤の展開がちょっと駆け足過ぎたのが気になった。★★★★☆