ジョン・ディクスン・カー『グラン・ギニョール』

ミステリからオカルトまで、幅広い一冊。

グラン・ギニョール (Shoeisha・mystery)

グラン・ギニョール (Shoeisha・mystery)

 デビュー作『夜歩く』の原型になった中編「グラン・ギニョール」、エッセイ「地上最高のゲーム」などを含む短編集。個人的ベストは「グラン・ギニョール」
「グラン・ギニョール」
 序盤は『夜歩く』とまったく同じだが、中盤以降大きく変わる。特にラストはまったく違い、こちらの方がおどろおどろしい。
「悪魔の銃」
 ほぼ純粋なオカルトという珍しい一品。得体の知れない緊張感の盛り上がりが良い。
「薄闇の女神」
 歴史ロマンス。最後に明かされる真相が悲しみと余韻を漂わせている。
「ハーレム・スカーレム
 これもカーには珍しいショートショート。短い中で綺麗なオチを見せてくれる。
「地上最高のゲーム」
 カーのミステリ論とでもいうべきエッセイ。しかしそれほど堅苦しくもなく、面白く読める。


 色んな作品が楽しめる一冊。★★★★☆