田代裕彦『キリサキ』

ラノベってレベルじゃねーぞ

キリサキ (富士見ミステリー文庫)

キリサキ (富士見ミステリー文庫)

あらすじ

 姉さんより大切なモノなんて何一つなかった。けれど、ある日姉さんはいなくなった。


 俺は死んでいた。
「君のようなものに進むべき道を示唆する案内人だよ」
 目の前に現れた死神のような案内人は、俺に新たな身体を与える。霧崎いづみ、という女の身体を。
 新しい体を手に入れた俺に、ある日転機が訪れた。クラスメイトの死。犯人は世間を騒がす連続殺人犯“キリサキ”だと言う。
 ……なぜだ。なぜ今“キリサキ”が現れる? そいつはこの世に存在するはずがない。なぜなら……。

感想

 うわあ、なんだこりゃ。解決を理解するのにもの凄く時間がかかったぞ。
 確かに伏線の張り方と意外な真相、そして非常にトリッキーな仕掛けは素晴らしい。しかし、やや凝りすぎたせいか、解決を理解するのが一苦労。解決場面での進み方がかなり遅く感じられた。
 そのせいか、読み終わってもどうもすっきりしない。主人公の行動の動機についてもあまり納得できず、個人的には『シナオシ』の方を上位に置きたい。しかしこの複雑さはラノベってレベルじゃねーぞ★★★★☆