ジョン・ディクスン・カー『ロンドン橋が落ちる』

「ふおッ!」ってなんだ「ふおッ!」って

ロンドン橋が落ちる (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1195)

ロンドン橋が落ちる (ハヤカワ・ポケット・ミステリ 1195)

あらすじ

 1757年、ジェフリー・ウィンは恋人であるモーティマー・ラルストン卿の姪ペッグをロンドンに連れ戻した。だが、モーティマー卿の妾ラヴィニアの憎悪を避けるため、ペッグは屋敷を飛び出してしまう。
 家屋の取り壊しが始まる直前のロンドン橋をさまようペッグと彼女を追ってきたジェフは謎の老婆の奇怪な死に遭遇することになる……。

感想

 こんどは十八世紀半ばのロンドン橋を舞台にした歴史ミステリ。日本でもよく知られている「ロンドン橋落ちた」の歌が重要な意味を持っていたりする。
 犯人を示す伏線の配置はやはり上手いが、トリックはカーを読みなれていればある程度の見当がつくもので独創的とはいえないか。その分、当時のロンドン橋の状況と剣戟、そしてカーお得意のロマンスは楽しめる。
 良くも悪くもカーの歴史ミステリらしい作品。しかし主人公の男と女が拳銃で狙われてるという緊迫したシーンで女が突然
「ふおッ!」
とか言い出したのには爆笑してしまった。★★★★☆