山口雅也『13人目の探偵士』

ああ、ゲームブックが元だったのね

あらすじ

 奇妙な童謡をなぞって、探偵ばかりを狙う殺人鬼・猫(キャット)。
 そんななか、ついに世界最高の探偵である探偵皇の死体が密室で発見された。ダイイング・メッセージと記憶喪失の男、そして消えた凶器の謎が渦巻く中、探偵が支配する探偵だけのパラレルワールドで探偵たちが捜査を開始する。

感想

 ゲームブックを加筆修正したものとあって、世界が分岐し、それぞれのパラレルワールドで平行して事件の捜査が行なわれるという怪作。
 分岐で三人の探偵士を選ぶことができるのだが、三者三様の捜査方法や推理は面白いと思う。ただ、各々の長さが短く、ややご都合主義になってしまっているような気がするのが残念。
 肝心のミステリとしての出来だが、解決で明かされる事件の真相は非常に意外性があっていいし、そこに至る伏線もしっかり張られている。
 あと、ラストにはオチのようなものがついているのだが、これは蛇足だと感じた。パラレルワールドパラレルワールドなのだから、無理矢理に締める必要はなかったと思う。★★★★☆