フィリップ・マクドナルド『鑢――名探偵ゲスリン登場』

なんかかったるいなあ

鑢―名探偵ゲスリン登場 (創元推理文庫 (171‐2))

鑢―名探偵ゲスリン登場 (創元推理文庫 (171‐2))

あらすじ

 大蔵大臣ジョン・フード殺害される――特種をいち早く掴んだ新聞社<梟(オウル)>はアントニイ・ゲスリンを特派員として送り込む。ゲスリンは現地で掴んだ事実を元に真犯人を推理するが……

感想

 1924年の作品という割には非常に論理的で凝った構成になっている。解決直前に読者への挑戦状が入ってないのが不思議なくらいの作品。
 ただ、犯人の動機を明らかにするためにわざわざ後出しのデータを使って延々と論証を加えたり*1、中盤での物語の起伏があまりにも少なかったりと、論理に拘りすぎてやや地味すぎる作品になってしまっているのが残念。マザーグースの有名な歌を引っ張り出したりしているが、それもゲスリンが勝手にやっているだけで、とてもじゃないが童謡殺人とは言えない。
 歴史的な意義は大きいと思われるが★★★☆☆くらいが妥当か。

*1:その割にその結論は微妙