京極夏彦『狂骨の夢』

ほんのちょっとだけ分かりやすい

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫)

あらすじ

 夫を四度殺した女、朱美。極度の強迫観念に脅える元精神科医、降旗。神を信じ得ぬ牧師、白丘。夢と現実の縺れに悩む三人の前に怪事件が続発する。海に漂う金色の髑髏、山中での集団自決。遊民・伊佐間、文士・関口、刑事・木場らも見守るなか、京極堂は憑物を落とせるのか? シリーズ第三弾。

感想

 前二作よりはやや全体が見えやすかったかな、と思う。
 今回は髑髏がモチーフになっているわけだけれども、それがクローズアップされすぎて、真相の一部分*1がぼんやりと見えるところがあった。そういう点ではラストで予想もしなかった繋がり方をする『魍魎の匣』の方が上か。
 それでも何度も見事な背負い投げを食らわせるし、何よりこれだけの事件を破綻なく組み上げる手腕は凄いと思う。ラストが前二作よりもはるかにさわやかだったのも、個人的には好きだ。★★★★★

*1:本当にごく一部だが