柄刀一『OZの迷宮』
不可能犯罪短編集の傑作。
- 作者: 柄刀一
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/05/11
- メディア: 文庫
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「密室の矢」
トリックはありがちだが、一捻りされた事件の様相が上手く真相を隠している。
「逆密室の夕べ」
全体の構図は簡単に見えるが、トリックは一筋縄では行かない。
「獅子の城」
身内の容疑を晴らすために活躍する名探偵、しかし最後で予想外の結末を見せる。プロットの凄さが光る作品。
「絵の中で溺れた男」
密室の中、絵の中の川で溺死、という謎がとても魅力的。それをあの手この手を駆使して実現してしまうのだから凄いもの。
「わらの密室」
冒頭の倒叙形式が最後にとんでもない衝撃を見せる。見事な作品。
「イエローカード」
「五十円玉二十枚の謎」を彷彿とさせる事件。キレのあるロジックが炸裂する。
「ケンタウロスの殺人」
ケンタウロスのような死体と不可解な犯罪。伏線を丁寧に繋いで見事な解決を見せる。
「美羽の足跡」
この中では随分雰囲気の違う作品。トリックもなんだか浮世離れしている。
全作品とも非常にレベルが高いが、それに加えて短編集としては特異な趣向も眼を引く。★★★★★