ジョン・ディクスン・カー『蝋人形館の殺人』
フランスにも蝋人形館ってあるんだ
蝋人形館の殺人 (Hayakawa pocket mystery books (166))
- 作者: ディクスン・カー,妹尾アキ夫
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1954/11/30
- メディア: 新書
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あらすじ
閉館間際の蝋人形館で殺された二人の若い女。いずれの事件にも、被害者の後を追いかける女が……その姿は斧で人を殺し死刑となったルシャール夫人の蝋人形にそっくりだった。捜査が進むにつれて、蝋人形館の隣にある妖しげなマスク・クラブの存在が浮かび上がり……
感想
バンコラン登場作。発端となる蝋人形館での死体発見シーンや殺人鬼の蝋人形が被害者を追いかける幻想は怪奇的な雰囲気満点。蝋人形の方は早めにネタが割れてしまうが、そこからマスク・クラブの妖しげな内部事情へと事件はシフトしていく。ここでは冒険小説的な匂いが強く、特にジェフ・マールは暴れすぎ(苦笑)。
ミステリとしては意外と単純なフーダニットだったが、被害者が首に掛けていたものの謎や犯人像の特異さが面白い。一種異様な緊張感が張り詰めるラストが素晴らしい。★★★★☆