東野圭吾『ある閉ざされた雪の山荘で』

 今まで東野圭吾を読んだことがなかったりする

ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)

ある閉ざされた雪の山荘で (講談社文庫)

 《吹雪の山荘》をテーマの推理劇の稽古をする七人の劇団員。しかし一人、また一人と本当に仲間が消えてしまう。しかも芝居かどうかが段々怪しくなってきて……


 有名なシチュエーションである《吹雪の山荘》へのパロディ的なアプローチが面白い。一風変わった演出家による舞台稽古、という設定を作り出すことでクローズドサークルを成立させつつ「芝居か殺人か?」「誰が犯人(役)か?」すなわち「一体何が起きているのか?」という魅力的な謎が生むことに成功している。まずこれが見事だ。
 そして解決も非常によくできている。伏線の丁寧な回収、あっといわされる真相がしっかりと用意されている。
 捻った設定を最大限に生かしたトリッキーな作品だ。山倉さんには感謝せねば。★★★★★