アドリアン・コナン・ドイル&ジョン・ディクスン・カー『シャーロック・ホームズの功績』
さすがに写真は出ないか
- 作者: アドリアン・コナン・ドイル,ジョン・ディクスン・カー,大久保康雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1983/01
- メディア: 新書
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個人的ベストは「密閉された部屋の事件」
「七つの時計の事件」時計を壊すという謎が魅力的。解決はちょっとアレだが、後半の怒涛の展開が楽しい。
「金時計の事件」独特の伏線が面白い。トリックもよく考えられていると思う。
「蝋人形賭博師の事件」事件そのものはかなり魅力的だが、ちょっと解決が尻すぼみな感じがする。
「ハイゲイトの奇蹟事件」消失状況の鮮やかさが印象的。トリックもなかなか面白い。
「色の浅黒い男爵の事件」全体の構図が明かされるラストが印象的。トリックはちょっと特殊すぎるか。
「密閉された部屋の事件」密室もの。トリック・伏線ともによく練られている佳作。
「ファウルクス・ラス館の事件」無実の男の無罪を証明する過程は面白い。犯人当てとしてはアンフェアだが。
「アバス・ルビーの事件」解決こそ予想がつくが、伏線の張り方が非常に上手い。
「黒衣の天使の事件」犯人の指摘は劇的だが、そこに至るまでの道筋はミステリとしては微妙。サスペンスの盛り上がり方は非常にいい。
「二人の女性の事件」ほとんど冒険小説のノリだが、ある意味ホームズらしい作品。
「デプトフォードの恐怖の事件」これは本当に怖かった。迫り来る恐怖とサスペンス、そしてその正体が明かされた瞬間の恐怖はかなりのもの。
「赤い寡婦の事件」ギロチンを使った殺人というのが上手い。ホームズの推理のキレもなかなか。
ミステリとしては微妙な作品もあるが、ホームズもののパスティーシュとしてはかなりレベルが高いと思う。シャーロキアンなら読んで損はないでしょう。★★★★☆