西澤保彦『七回死んだ男』

七回死んだ男 (講談社文庫)

七回死んだ男 (講談社文庫)

 西澤保彦が好きだというイムさんには呆れられそうだが、読んでなかったんだなあ、これを。
 で、感想だがこれは面白い! 時間の反復落とし穴で甦っては死ぬ被害者、という設定もよくできているが、何より対策を立てるたびに犯人が変わってしまう不条理さ、主人公が違う行動をするたびにどんどん事態が変わってしまい、主人公がそのたびに悶えるのについつい笑ってしまう。
 事件の真相もSF設定の見事さと事件の錯綜によって非常に巧妙に隠されているのが素晴らしい。そして最後の足元をすくうような見事な展開。そこへ至る伏線の処理も非常に上手い。おまけにラストも僕好み(笑)。文句のつけようのない傑作。★★★★★