横溝正史『獄門島』(角川文庫)

獄門島 (角川文庫)

獄門島 (角川文庫)

あらすじ

 獄門島――瀬戸内海に浮かぶ小島に金田一耕助が渡ったのは、戦友、鬼頭千万太の遺言によってであった。「三人の妹が殺される……おれの代わりに獄門島へ行ってくれ……」
 島の網元である鬼頭家を訪れた金田一は、美しいが異常な三姉妹に会う。しかしその後、悪夢のような連続殺人が起こる。

感想

 今さら僕が感想を書いてどうなる、というような孤島もの、見立てものの最高傑作です。連続殺人の見立てや獄門島自体によって生み出される雰囲気も抜群ですが、それぞれの殺人に仕組まれたトリック、そしてプロットの捻りなどは非常によくできています。また一つ一つのトリックがそれぞれしっかりした必然性を持って、見立てや獄門島の雰囲気と見事なまでに結びついています。そのため全てが解き明かされた後でもこの作品には一種異様な美しさがあります。
 なにはともあれ大傑作であることは間違いないので、読んでみてください。


その他の横溝正史の代表作
『本陣殺人事件』
八つ墓村