エドワード・D・ホック『サム・ホーソーンの事件簿V』
バラエティに富んだ作品集
- 作者: エドワード・D.ホック,Edward D. Hoch,木村二郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2007/06/10
- メディア: 文庫
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「消えたロードハウスの謎」
家屋消失という強烈な謎を繰り出すが、トリックは細部まで良く練られている。
「田舎道に立つ郵便受けの謎」本が消失するという謎へのトリッキーな解決、捻ったプロットが素晴らしい。
「混み合った墓地の謎」
強固な不可能状況をちょっとした伏線からテクニカルに解き明かす。
「巨大ミミズクの謎」
ちょっと謎自体の魅力が乏しいため、あまり面白みを感じなかった。
「奇蹟を起こす水瓶の謎」
トリック解明に至る伏線が上手くできている。最後に明かされる真相が怖い。
「幽霊が出るテラスの謎」
細かい伏線とミスディレクションが効いている。
「知られざる扉の謎」
消失トリック自体はそれほど意外ではないが、サブトリックや動機が面白い。
「有蓋橋の第二の謎」
ちょっと状況が限定されすぎているせいか、解決がありきたりなものになってしまったのが残念。
「案山子会議の謎」
トリックやミスディレクション自体は悪くないのだが、捜査過程で大きくヒントが提示されてしまうのが残念。
「動物病院の謎」
犯人の意外性やミスディレクションの上手さによってラストのプロットのあぶり出しが非常に面白いものになっている。
「園芸道具置場の謎」
トリック一発の作品だが、それが非常に強烈な印象を残す。
「黄色い壁紙の謎」
消失トリック自体も悪くはないが、それ以上になぜ消失しなければならなかったかという動機が面白い。
「レオポルド警部の密室」
レオポルド警部と彼の元妻の闘いが印象に残る。ミステリとしては平凡。
全体的に密室のHowよりもWhyの方に傾いた作品が多かったせいか、今までよりもバラエティに富んでいる感じがした。★★★★☆