エドガー・アラン・ポオ『ポオ小説全集Ⅲ』

ミステリ誕生

ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3)

ポオ小説全集 3 (創元推理文庫 522-3)

 短編集。個人的ベストは「モルグ街の殺人」。感想は一部のみ。
「モルグ街の殺人」
 再読。冒頭のデュパンがワトスン役の心を読むシーンや、密室の解決など、後に受け継がれる部分が多々あるのに気づかされる。
「メエルシュトレエムに呑まれて」
 単なるパニックものかと思いきや、意外と冷静な観察や論理的な推理があったりする。
「悪魔に首を賭けるな」
 ショートショートのような味の作品。オチも読めるし、小咄だなこれは。
「週に三度の日曜日」
 週に三度の日曜日をいかにして成立させるか、その方法がユニークで面白い。
「楕円形の肖像」
 短いながらも、肖像画に込められたドラマが非常に濃厚に描かれている。
「マリー・ロジェの謎」
 いわゆる安楽椅子探偵もの。新聞記事から純粋推理のみで説得力のある解決を引き出す手腕に脱帽。
「陥窟と振り子」
 いきなり主人公が投獄されるところから始まる。状況が分からないまま次々と危機に襲われるサスペンスが楽しめる。
「眼鏡」
 この中では数少ない笑える作品。ありがちなネタではあるが、いろいろ工夫を凝らして上手くオチへと繋いでいる。
「軽気球夢譚」
 架空の旅行記ものだが、非常に説得力に富んだ作品になっている。
「早すぎる埋葬」
 硬直症などが原因で誤って埋葬されてしまうという話。後半で非常に面白い展開を見せる。


 「モルグ街」「マリー・ロジェ」の価値も含めて★★★★★