都筑道夫『退職刑事5』
変り種とオーソドックスな快作が同居してる
- 作者: 都筑道夫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2003/05
- メディア: 文庫
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「落葉の墓」
捜査の進捗によって徐々に手がかりが現れるため、推理の余地はあまりない。ところが最後まで来て見事な一撃が入る。
「凧たこあがれ」
趣向こそ変わっているが、この中では初期作品に近く、伏線を丁寧に拾って解決にもっていっている。
「プールの底」
プールで刺殺、凶器なしという複雑な状況を、ちょっとした視点の転換で打開する解決が面白い。
「五七五ばやり」
暗号ものだが、最後に変な捻りをもたせている作品。
「闇汁会」
ミステリでは時々出てくる、一風変わった構図の事件。しかし書き込みが少なくてやや説得力に欠ける気がする。
「遅れた犯行」
自白の後の犯行という奇妙な状況設定が抜群。自白の理由も非常に面白いと思う。
「あくまで白」
犯人当てよりも主人公の刑事がなぜ有力容疑者を白だと思うか、という謎の方がメインか。ただ、ちょっと物足りない。
「Xの喜劇」
事件の質といいラストの捻り具合といい、割と軽めの一品だがかなりの異色作。
面白い事件もあったが、全体としては★★★★☆