アイザック・アシモフ『はだかの太陽』

密室っぽいけど密室じゃないような……うーん

はだかの太陽 (ハヤカワ文庫 SF 558)

はだかの太陽 (ハヤカワ文庫 SF 558)

あらすじ

 すべてがロボットによって管理される惑星ソラリア。そこで有史以来初の殺人事件が発生した。密室状況下で人間が殺され、しかもその場にはロボットだけ。
 ソラリアの要請で地球の刑事イライジャ・ベイリはロボットのダニール・オリヴォーと再びコンビを組んで捜査を始める。

感想

 イライジャ・ベイリとR・ダニールが活躍するSFミステリ第二弾。
 今回は地球外の惑星が舞台である(といっても『鋼鉄都市』も現在の地球とはかけ離れた状態だったが)。
 この作品はソラリア人に特殊な性質を与え、それを最大限にミステリとして利用しているのが目を引く。その性質によって、事件が密室殺人のような状況となってしまったり、その性質とロボット三原則を巧みに組み合わせてトリックを成立させていたりして、本格ミステリとしてのプロットがかなり良く練りこまれている。
 ただ、その分だけ一作目の『鋼鉄都市』のような人間ドラマは減少したかな、と言う印象。
 最後には強烈な一撃も待ち構えている。個人的には『鋼鉄都市』を越える傑作だと思う。★★★★★