レイモンド・T・ボンド編『毒薬ミステリ傑作選』
分かっちゃいたが、ある程度パターン化するよね
- 作者: レイモンド T.ボンド,宇野利泰
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1977/07/15
- メディア: 文庫
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「序論 毒と毒殺について」(レイモンド・T・ボンド)
評論っつーかエッセイだな。後半は少しだれたけど見所たくさん。
「疑惑」(ドロシイ・L・セイヤーズ)
再読。何の変哲もない日常から生まれるサスペンスが非常に上手い。そしてなによりラストが強烈。
「キプロスの蜂」(アントニー・ウイン)
これも再読。この中ではかなりオーソドックスな探偵小説になっている。
「利口なおうむ」(E・C・ベントリー)
トレント登場作。一応伏線も張ってあるし、この中ではミステリとしての出来がよい。
「偶然の審判」(アントニイ・バークリー)
あまりにも有名な「毒チョコ」の原型。こちらはこちらですっきりとして良くできていると思う。普通の探偵小説の佳作。
「夾竹桃」(ミリアム・アレン・デフォード)
主人公の心理状態があまりにも平静すぎて不気味な作品。
「ラインゲルダーとドイツの旗」(ラドヤード・キップリング)
ショートショート。平凡であまり印象に残らない作品。
「リキュール・グラス」(フィリス・ボットム)
いわゆるクライム・ノベル。そこそこ面白いが、クライムのベルとしてはありがちか。
「大都会の一挿話」(アーヴィン・S・コブ)
オチはなんとなく分かるのだが、主人公二人がそこへ突き進んでいく様子がサスペンスフルに描かれている。
「事故」(アガサ・クリスティ)
さすが女王、という一品。どこかで見たような発端ではあるが、それをきっちりとストーリーとして成立させ、結末にサプライズを盛り込む手腕が素晴らしい。
「バーナビイ事件」(R・オースチン・フリーマン)
おなじみソーンダイク博士登場作。しかし倒叙形式ではなく、ワトスンが事件に遭遇し、あとから博士が登場するというパターン。ミステリとしての意外性はあまりない。
「ラパチーニの娘」(ナザニエル・ホーソーン)
かなり異色の作品。主人公がどうしようもなくラパチーニの娘に惹かれていく様子、疑惑、そしてラストのキレが素晴らしい。
「手早いやつ」(G・K・チェスタトン)
ブラウン神父もの。よくできたミスディレクションと意外な真相。流石の一編。
「魔術ミステリ傑作選」に比べるとやや苦しいのはしょうがないか。再読作品も多かったので★★★☆☆