貫井徳郎『鬼流殺生祭』

え、ええええ? それで終わり?

鬼流殺生祭 (講談社文庫)

鬼流殺生祭 (講談社文庫)

あらすじ

 維新直後の帝都東京の武家屋敷で青年軍人が殺された。
 被害者の友人で公家の三男坊、九条惟親は関係者から事件の解決を依頼されるが、容疑者、動機など全て不明。困惑した九条は博学の変人、朱芳慶尚に助言を求めるが……

感想

 中心となるアイディアは決して悪くないのだ。霧生家にまつわる謎の解決や、最後に朱芳が示唆するある可能性は面白い。
 しかし肝心の事件の解決の方がいただけない。犯行動機の割に各人の行動に無理がありすぎると思うるし、それを差し引いても真相が拍子抜け。今まで延々とやってきたのは何だったのかと。
 明治維新直後の社会の描写は非常に面白く、解決まではノリノリで読めたのに。これが「九割傑作、一割駄作」というやつか。★★☆☆☆