折原一『模倣密室』

相変わらず無茶苦茶やってます(笑)

模倣密室 黒星警部と七つの密室 (光文社文庫)

模倣密室 黒星警部と七つの密室 (光文社文庫)

 短編集。個人的ベストは「邪な館、1/3の密室」
北斗星の密室」
 いかにもなバカトリックを振りにして、真相は超がつくほどの脱力系。まあこのシリーズだから、まともなわけはないんだけど。
「つなわたりの密室」
 さり気ないミスディレクションが上手いが、無理矢理なプロットの前には影が薄い。笑える、というよりは苦笑してしまうような作品。
「本陣殺人計画」
 『七つの棺』に続いての『本陣』パロディ。機械トリックへの批判も垣間見えるが、やっぱりこの人、本陣が好きなんだろうな。
「交換密室」
 密室トリックはほとんどおまけに過ぎない。サスペンスの雰囲気満点のクライムノベル。
「トロイの密室」
 バカミスなんだけど、この中では印象が薄い。黒星が出てないからか、それとも葉山虹子がまともに謎解きをしてしまうからか。
「邪な館、1/3の密室」
 この完全なるバカトリック、どうみても島田荘司です。少年探偵がいい味出してるね(笑)。
「模倣密室」
 古典のパロディでありながら、作者得意の仕掛けをもって意外性を演出している。この中ではミステリとギャグのバランスがかなりいいと思う。


 『七つの棺』に比べると全体的にややサスペンス風になってるかな。★★★★☆