レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』

チャンドラー初挑戦

あらすじ

 「コーヒーをつぎ、タバコに火をつけたら、僕についてすべてを忘れてくれ……」
 妻を殺したと告白して死んだテリー・ノックスからの手紙にはそう書かれていた。彼の無実を信じ逃亡に手を貸したマーロウには後味の悪い結末だった。
 しかし、別の依頼を調査するうちに、マーロウは再びテリー・ノックスの事件に巻き込まれることになる……。

感想

 これがチャンドラー初挑戦。
 ハードボイルドは他にロスマクしか読んでいないが、ロスマクに比べると探偵であるフィリップ・マーロウ自身が前面に出ていて、その分マーロウがクローズアップされ、世界がくすんでいるという印象。
 数々の名言が飛び出し、それがマーロウの格好良さを引き立てている。しかし、その格好良さは「孤高の騎士」というよりはなんとなくドン・キホーテ的な格好良さに見えてしまう自分はどうなのだろう?
 ミステリとしては面白い所もあったが、なんだかマーロウのせいで無駄に事件がこんがらかっているような気がしてしまう。★★★★☆