都筑道夫『退職刑事3』

奇抜な状況設定に凝った一冊

 短編集。個人的ベストは「散歩する死体」
「大魔術の死体」
 不可能犯罪ものだが、短編という形式上、ほぼ剥き出しで割と簡単に割れてしまうのが残念。
「仮面の死体」
 肝心の仮面をかけた謎の解決がちょっと不満。いくらなんでも、ねえ。しかしさり気ない伏線からの一撃は上手い。
「人形の死体」
 論理自体は非常に良くできていると思うのだが、解決にはやや不満が残る。
「散歩する死体」
 奇抜な状況がほんのちょっとした糸口からするすると解けていくのが面白い。
筆まめな死体」
 ダイイングメッセージものだが、必然性を持っているのがよい。論理の繋ぎ方、メッセージ自体の解決も意表を突いている。
「料金不足の死体」
 これもダイイングメッセージものだが、状況の奇抜さを優先しすぎて、やや必然性に欠けるか。イマイチな気がする。


 第一集に比べるとやや劣るのは仕方ないわけで。★★★★☆