エリザベス・フェラーズ『さまよえる未亡人たち』

さまよえる未亡人たち (創元推理文庫)

さまよえる未亡人たち (創元推理文庫)

あらすじ

 ひさしぶりに英国へと帰ってきた青年ロビンは、せっかくの休暇に殺人事件に巻き込まれてしまう。殺されたのは、旅先で知り合った、個性的な有閑マダム四人組のひとり。
 はたして、犯人は友人か、息子か、夫か、それとも…。謎を解く鍵は、いったいどこに?

感想

 さすが、さすがの上手さを感じさせる作品。
 登場人物の中心となる四人の有閑マダムとその夫や息子たちの誰もが怪しく、そして皆が事件を解決しようと色々な推理を披露する。全体の長さは非常に短いのだが、その間に目も眩むような推理が次々と飛び出す。そして、あらゆる可能性を議論した末にその盲点を突いた解決はやはり見事。
 ただ欠点がないわけではない。まず四人の「未亡人」がちょっと見分けがつきにくい。あと、やはり枚数の関係上か、解決がやや駆け足過ぎる感じがするのが残念ではある。★★★★☆