都筑道夫『退職刑事』
キレキレの安楽椅子探偵もの
- 作者: 都筑道夫
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2002/09/22
- メディア: 文庫
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「写真うつりのよい女」
きれいなプロットの捻りと細かい伏線を丁寧に繋ぐ論理展開。傑作。
「妻妾同居」
最後の解決で思わぬ可能性が指摘される。が、事件といい解決といいちょっとエグイのが個人的にはどうもね……。
「狂い小町」
ほんのちょっとした着眼点から見事な構図が浮かび上がる。プロット、トリックと絶妙の伏線が素晴らしい。
「ジャケット背広スーツ」
論理自体は非常に出来が良い。ただし面白そうな推理が途中で放りっぱなしになってしまっていたりして、ちょっと残念。
「昨日の敵」
こんがらかった状況からきれいに解決を引き出してみせる。論理の方はちょっと怪しげだが、解決がきれいなのであまり気にならない。
「理想的犯人像」
容疑者をばら撒きながらさり気なく伏線を張って見事に回収するのが上手い。
「壜づめの密室」
ボトル・シップの密室はまあ普通だが、その陰でトリッキーな仕掛けを施している。
純粋な安楽椅子探偵のシリーズ。会話が多くてテンポ良く進むし、素晴らしい作品が多い。傑作短編集といっていいだろう。★★★★★