リチャード・マシスン『奇術師の密室』

サプライズ! サプライズ! サプライズ!

奇術師の密室 (扶桑社ミステリー)

奇術師の密室 (扶桑社ミステリー)

あらすじ

 脱出マジックに失敗し、植物人間となってマジック・ルームの車椅子の上にいる往年の名奇術師。その眼前で二代目として活躍する息子とその妻、妻の弟、そしてマネージャーが空前絶後の騙し合いを始める。息をも継がせぬどんでん返しの果ての結末は如何に?

感想

 ひたすらどんでん返しと騙しあいにこだわったエンタメの快作。
 名奇術師のマジックルームで繰り広げられる室内劇。登場人物の数は少ないが、とにかく圧倒的な質と量のどんでん返しを連発して読者を最後まで翻弄し続ける。スピード感溢れる展開も素晴らしい。
 ミステリとしては伏線がないなどの問題もあるが、この騙される面白さの前では些細なもの。映画『スティング』のような味わいが見事、見事。こういうの大好きだ。★★★★★