芦辺拓『グラン・ギニョール城』

黄金時代万歳! って感じで

グラン・ギニョール城 (創元推理文庫)

グラン・ギニョール城 (創元推理文庫)

あらすじ

 欧州の城・グラン・ギニョール城に招かれた名探偵ナイジェルソープ。客の間には緊張が漂い、嵐の夜に惨劇が起こる……
 弁護士・森江春策が遭遇した事件の手掛かりである結末のない探偵小説『グラン・ギニョール城』はやがて現実を侵食し始める。虚実が織り交ざった事件を森江はいかに解きほぐすのか?

感想

 この作品はとにかく小説の『グラン・ギニョール城』に尽きる。
 まさに黄金時代の一品、といった感じの凝り方がもの凄い。いかにもなクローズドサークルの設定と舞台、魅力的な不可能犯罪、捻りの効いた真相は非常に面白い。
 今回は現実の方では事件らしい事件は起きないまま進行するが、それでも終盤では一転して怒涛の展開を見せてくれる。作中小説と現実の事件の融合も良くできていると思う。
 しかしなんといっても『グラン・ギニョール城』だ。黄金時代万歳! ★★★★★