倉知淳『日曜の夜は出たくない』

結構いい作品もあるけど……

日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

日曜の夜は出たくない (創元推理文庫―現代日本推理小説)

 猫丸先輩が登場する短編集。個人的ベストは「一六三人の目撃者
「空中散歩者の最期」
 物理的に明らかに間違っている。あと、そんな真相だったら痕跡が残るだろ、と言わせて貰おう。かなり微妙な作品
「約束」
 主人公の女の子の目線が切ない。伏線の隠し方、拾い方ともにシンプルだが上手い。
「海に棲む河童」
 河童の話を一度バラバラにし、そこから現実に再構築していくのが面白い。
「一六三人の目撃者」
 不可能犯罪っぽい一編。非常にテクニカルなトリックが素晴らしい。
寄生虫館の殺人」
 主人公のとぼけた感じが笑える。ミステリとしては、ちょっと不自然さが強いわけだが……。
「生首幽霊」
 面白いトリックだと思うんだが、ちょっと成立するか怪しい気がするぞ。
「日曜の夜は出たくない」
 うーん、ある程度は読めてしまうな。個々の理由付けは上手いと思うけれど。


 ラストに明かされる趣向は面白いが、短編集としては微妙な作品がいくつかあるのが残念。★★★☆☆