クレイグ・ライス『わが王国は霊柩車』

ミステリとしては面白い。面白いが……

わが王国は霊柩車 (ハヤカワ・ミステリ 880)

わが王国は霊柩車 (ハヤカワ・ミステリ 880)

あらすじ

 アメリカ中の女性の憧れ、男性の偶像、デロラ・ディーン……彼女がモデルをする化粧品会社デロラ・ディーン社から呼び出されたマローンはいそいそと彼女に会いに出かける。
 しかし、デロラ・ディーン社の社長から聞かされたのはショッキングな話だった。デロラ・ディーンという女は実在せず、実は5人の女性を合成した架空のモデルだったのだ!
 そして、そのうちの一人、手首を受け持つエバが行方不明になったという。しかもその代わりに、防腐処理の施された優雅な両手首が送られてきたのだ……

感想

 おなじみ、酔いどれ弁護士マローンもの。ちょっと出来が良くない気がする。
 ミステリとしての出来は非常にいい。次々と事件が起きて錯綜するプロット、犯人の意外性などもなかなかだ。
 でも、ライスにそういうのは求めてない。この作品では魅力的な女性キャラがいなかったためか、マローンの惚れっぽさも出てこなかったし、ジェイクとヘレンもバラバラに動くのでイマイチ。
 「三人が事件を引っ掻き回す」のではなく「三人が事件に振り回される」感じが強いのがその原因だろうか。ライスの中では低めの★★★☆☆