ジョン・ディクスン・カー『月明かりの闇』
フェル博士「最後の」事件
月明かりの闇 〈クラシック・セレクション〉 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
- 作者: ジョン・ディクスン・カー,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2004/09/07
- メディア: 文庫
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あらすじ
死体は広々とした砂浜の真ん中に倒れていた。濡れた砂には、鈍器で殴られた被害者の足跡しかない。
百年前に起きた謎の惨劇が現代に再現された。この不可能犯罪にフェル博士が挑む。
感想
これがフェル博士最後の事件である。とはいえポワロやモースのように特別な何かがあるわけではなく、普通の不可能犯罪ものだ。取りあえず順番が「最後」というだけ、というわけだ。
その不可能犯罪のトリックはかなり分かりやすく、ちょっと拍子抜けである。
というわけで、やはりメインはフェル博士の後期作品によくある人物関係の捻り。これはなかなかよくできている。
また何度も現れる海賊からのメッセージは、初期作品のような怪奇性はほとんど感じられない*1ものの、その真相は捻りが効いていて非常に面白かった。
最後の事件、ということでちょっとおまけして★★★★☆
*1:カーが意図してそうしたのか、筆力が衰えたためかは分からないが