東野圭吾『名探偵の掟』
パロディとしては面白い。が……
- 作者: 東野圭吾
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/07/15
- メディア: 文庫
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「密室宣言」
密室アレルギーの天下一大五郎がもの凄く格好悪くて笑える。警部の独白は結構痛いが。
「意外な犯人」
意外な犯人を生むのも大変だ。作者の苦労が偲ばれる作品。
「屋敷を孤立させる理由」
これは面白い。トリックには開いた口が塞がらなかった。爆笑ものの一作。
「最後の一言」
無理矢理なダイイングメッセージへの批判は割とすんなり受け入れられたが、ラストの解決には笑った。妙に現実的な「最後の一言」だ。
「アリバイ宣言」
「時刻表なんて見ていません」は痛い、というか俺も時刻表トリックは嫌いだ。この上なくいい加減なラストが「富豪刑事」を彷彿とさせる。
「『花のOL湯けむり温泉殺人事件』論」
いけしゃあしゃあと女になるか天下一(笑)。二時間ドラマのご都合主義への皮肉は素直に楽しめた。
「切断の理由」
あの古典を下敷きにしたかのような「切断の理由」が面白い。ただしラストの捻りが少々破壊力不足だと思う。
「トリックの正体」
古典的なトリックへの皮肉がきいている。
「殺すなら今」
童謡のやる気のなさに苦笑。しかし事件の真相はこれでミステリとしてもなかなか悪くないと思うのだが。
「アンフェアの見本」
あまりに前例のあるトリックに探偵役が謝るのが面白い。しかし伏線の妙などはなかなかいいのでは。
「禁句」
よくできた推理だ、と思ったら真相が推理よりも間抜けだった。脱力ものの一編。
「凶器の話」
肝心の凶器はともかく、名探偵論としてはちょっと面白い作品。
「エピローグ」「最後の選択」
シリーズ探偵を皮肉る作品。ミステリとしての面白みはないか。
パロディとしてはよくできていると思う。が、皮肉だけで「推理」としての面白みはあまりない。作者が意図的に外したのかもしれないが、自分が読みたいのは「推理」なのだ。というわけで★★★☆☆