連城三紀彦『暗色コメディ』

 なんじゃこりゃ???

暗色コメディ (文春文庫)

暗色コメディ (文春文庫)

あらすじ

 夫がもう一人の自分と不倫しているのを目撃した主婦。自分を轢き殺したはずのトラックが消失した画家。妻に「あんたは一週間前に死んだ」と告げられた葬儀屋。知らぬ間に妻が別人に摩り替わっていた外科医。
 四つの狂気に共通点を見出した精神科医は、狂気が織り成す幻想を一つに繋げ、意外な真相を探り当てていく。

感想

 「あらすじ」で紹介した四人の男女の狂気や妄想から物語はスタートするのだが、途中まではこの妄想が膨らんでいく一方なので、果たしてこれで上手くミステリとしての解決を見せられるのだろうか、と不安になる。
 しかし後半、狂気の一部はとんでもない方向へ向かいながら、ある部分は現実へと収束し、最後にはなんとも変な格好で着地。
 個々のトリックはかなりテクニカルでよくできていると思うのだが、全体を見渡してみると異様というか、どうにも掴み所がない感じがしてしょうがない。読後なんだか乗り物酔いしたような変な気分になった。凄い作品であることは確かなので★★★★★ではあるが……