ジョン・ディクスン・カー『四つの兇器』

 アンリ・バンコラン引退後の事件

四つの兇器 (Hayakawa pocket mystery books (445))

四つの兇器 (Hayakawa pocket mystery books (445))

あらすじ

 若い弁護士カーチスは、依頼人ダグラスの昔の恋人ローズの不審な動きを調べていた。そんな中カーチスは、ダグラスの別荘でローズの死体を発見する。彼女の死体は拳銃、剃刀、短剣、睡眠薬の四つの凶器に囲まれていた。果たしてローズの死因は? そして引退したバンコランの推理は?

感想

 バンコラン引退後の作品。服装がみすぼらしくなってたり、話し方が軽くなったりと随分様子が変わっているが、個人的には以前のメフィストフェレスのような雰囲気の方が似合っていると思う。どうも「カカシ」みたいな格好をしたバンコランはしっくりこない。おそらくバンコランにダンディなイメージを持っているからだろうが。
 事件の方だが、四つの凶器という発端は面白いが、その後の二転、三転する展開、解決で明かされる複雑怪奇なプロットはまず読めない。幾重にも偶然を積み重ねたのは狙ってだろうか? 個人的にはちょっと受け入れにくかった。しかしまあよく考えたな、という作品。★★★★☆