高木彬光『妖婦の宿』

 表題作は傑作

妖婦の宿 (角川文庫 緑 338-58)

妖婦の宿 (角川文庫 緑 338-58)

 神津恭介ものの短編集。個人的ベストは「妖婦の宿」
「殺人シーン本番」(中編)
 連続殺人に密室があったりと非常に面白いが、なんだか詰め込みすぎな印象を与える作品。解決はよくできている。
「紫の恐怖」
 これはちょっと微妙。検死をやっていないため、不可能性が埋もれてしまっている。もったいない。
「鏡の部屋」
 調査して見つからなかった仕掛け、という割にはトリックがチャチなのが不満。犯人特定は上手いと思う。
「妖婦の宿」
 密室トリックだけではない仕掛けの上手さ、さり気ない伏線犯人特定のロジックなど、非常によくできた短編。傑作。


 表題作は素晴らしいが、あとが微妙な★★★☆☆