ロバート・L・フィッシュ『シュロック・ホームズの冒険』

 笑い殺す気かw

シュロック・ホームズの冒険 (ハヤカワ・ミステリ文庫 42-1)

シュロック・ホームズの冒険 (ハヤカワ・ミステリ文庫 42-1)

 迷探偵シュロック・ホームズが大活躍(笑)する短編集。個人的ベストは「画家の斑紋」、次点は「アダム爆弾の怪」
「アスコット・タイ事件」一番の笑いどころが解説でようやく分かった。ちょっと訳が不親切すぎるかな。それでも十分面白い。というかホームズそんなことしていいのか?
赤毛の巨人」まぐれあたりを思わせるような解決が面白い。しかし一番笑えるのは最後の最後まで迷推理を繰り広げるホームズ。
「アダム爆弾の怪」E=Mc^2という暗号(笑)に果敢に挑むホームズ(笑)。ラストのオチに爆笑。なるほど、それで”Adam Bomb”か。
「黒眼鏡の楽団」赤毛連盟」を彷彿とさせる発端と展開だが……「ちょっと待て、それはないだろ」と言いたくなるオチ(笑)。
「奇妙な手紙」一体この手紙のどこが奇妙なのかというツッコミを無視してどんどん変な方向に突っ走るホームズ(苦笑)。ていうか誰か気づけ。
「消えたチェイン=ストロークオチの意味は分かったんだけど、全体的に意味不明。これはまぐれ当たりを笑えばいいのだろうか?
「画家の斑紋」事件そのものが圧倒的に面白い。ホームズの推理があまりに見事で大爆笑してしまった。しかし、名推理で爆笑できる作品なんてそうはないだろう。
「ダブルおばけの秘密」最後でようやく意味が分かった。実は伏線がしっかりと張られているのが素晴らしい。
「罠におちたドラマー」これはちょっときついかな。英語の俗語を使うことで面白さを出しているが、やっぱり日本語だとどうしても分かりにくい。
「贋物の君主」まあこういう解釈もできなくはないが……いくらなんでも普通おかしいと思うだろう(苦笑)。ラストがまたいい味を出している。
「誘拐された王子」なんかおかしいと思ったが、ラストで疑問が氷解。なんというか、分かってみると随分かわいい事件だな(笑)。
「シュロック・ホームズ最後の事件」マーティ教授の自白があるのに頑固に自分の推理にこだわるホームズがおかしい。本家「最後の事件」を思わせるラストには思わずニヤリとしてしまった。
 ツッコミどころと笑いどころが満載の傑作パロディだ。★★★★★