柄刀一『3000年の密室』

 あっちはチャーリー、こっちはサイモン

3000年の密室 (光文社文庫)

3000年の密室 (光文社文庫)

あらすじ

 密室状態の洞窟で発見された縄文人のミイラ。「サイモン」と名付けられた彼は石斧を突き立てられ、死後に右腕を切断されていた。学界が発見と論争に揺れる中、今度はサイモンの発見者が行方をくらます事態が発生する。

感想

 読み始めてすぐJ・P・ホーガンの傑作『星を継ぐもの』を思い出した。あっちはSFらしく月面で発見された5万年前の死体だったが、両者のミイラ(あるいは死体)に対する専門的な調査の詳細な描写や討論会における論争の面白さなどは非常によく似ていると思う。
 ミステリとしては、現代の密室殺人が全体的に軽い*1のが残念だが、「3000年の密室」の謎解きは幕切れの見事さを含めて非常に面白かった。
 というか現代の事件いらなくね? どうもバランスが悪い気がしたなあ。★★★★☆

*1:謎、解決、その他もろもろ、どうもいい加減な気がする