クレイトン・ロースン『棺のない死体』

 奇術師マ−リニの第四長編、というか最後の長編

棺のない死体 (創元推理文庫)

棺のない死体 (創元推理文庫)

あらすじ

 巨大な権力を有する実業家ウルフの元に恐喝者がやってきた。ウルフはかっとして彼を殴り殺してしまい、召使や医師と共に死体を埋める。ところがやがて恐喝者の幽霊が現れるようになる。話を聞いた奇術師マーリニはウルフの家に行き、謎を解明しようとするが……

感想

 これが初めて読むロースンの長編。殺されたはずの男が幽霊として登場し、密室から消え失せたり密室殺人をやってのけたりする、という謎が非常に魅力的。謎の半分である幽霊の正体については途中で明かされてしまうが、これがまたちょっとバカミスっぽい感じで(いい意味で)バカらしくて笑える。
 また、マーリニは超常現象や奇術については膨大な知識を持っていて、幽霊の正体に関するところや密室の謎が出てきたところなどでやたらと薀蓄を披露するのが微笑ましい。
 最後には密室トリックの解明と二重、三重のどんでん返しが待っていてけっこう楽しめた。★★★★☆