エドマンド・クリスピン『消えた玩具屋』

 久しぶりの一冊

消えた玩具屋 (ハヤカワ・ミステリ文庫 55-1)

消えた玩具屋 (ハヤカワ・ミステリ文庫 55-1)

あらすじ

 「世紀の大詩人」キャドガンは刺激を求めるために大学時代を過ごしたオックスフォードへとやってきた。町をさまよっていた彼は、ドアが開きっぱなしになっている玩具屋を見つける。中に入るとそこには女の死体が。次の瞬間、彼は頭を殴られ気絶した。
 翌朝、目を覚ました彼の目の前から玩具屋は消え、食料品店となっていた……

感想

 玩具屋が一晩にして食料品店に変わるというミステリ史に残るようなトンデモな謎が面白い。しかし、この謎の解決はちょっと拍子抜けといった感じで、あまり感心はできなかった。
 むしろこの作品の売りは強烈な登場人物達とディクスン・カー張りのドタバタだろう。印税アップをねだる世紀の詩人、作者クリスピンのために章題を考える名探偵、車や自転車の窃盗くらいなんとも思ってない登場人物の面々。彼らの巻き起こす騒動が強烈でかなり笑える。
 ミステリとしては、フーダニットとしてもちょっと微妙か。それでもユーモアミステリとしてはかなりの出来だと思う。★★★★☆